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文字通りの掃き溜め。覚書とも、下書きとも。
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拍手御礼ログ第一陣の第二弾です。
ファンタジー風味につき要注意。

「遅いでげすなぁ、ゴウくんたちは」
「また、面倒ごとにでも巻き込まれているんだろう」
「巻き込まれているというか、巻き起こしているというか」
「渦中にあることには違いないさ、どうせ」
 はあっ、と、大きく溜め息をついて、二人は茶を啜る。
 別行動にしよう、と。彼らのリーダーの提案が間違っていたとは思わない。ルートの配分も、それに応じての戦力の配分も、無難かつ堅実なものであり何の問題もなかったはずだ。
 だが、予定通りに目的地に辿り着いたのは、二分されたパーティーのうち、片方だけであった。
「時間短縮のつもりが、これじゃあ意味がなくなるじゃないでげすか」
「早く、話をしたいんだがな」
 寄りかかるようにして眠る弟の背を撫でてやりながら、黒髪は吐息に言葉を載せる。
「そうでげすな。思っていたより、事は重大そうでげすしね」
「厄介ごとはごめんだというのに」
 茶色い髪のしみじみした同意には、心底面倒くさそうな色味を帯びた声を返した。仕事でさえなければ投げ出していると、言外に滲ませた意味以上に、しかし、茶色には伝わる何かがあったらしい。にやりと意味ありげな上目遣いを向けられ、黒髪は柳眉を寄せる。
「なんだ?」
「またまた、そんなことを言って。わては知っているでげすよ。なんだかんだ言って、結局最後まで付き合ってくれるじゃないでげすか」
「乗りかけた船だからだ」
 渋い声での返答は、しかし、どこか諦念をもって響く。それは、事に巻き込まれることへのではなく、見抜かれていることへの。
「いいじゃないでげすか。わては結構楽しんでいるし、悪くないとも思っているでげす」
「前向きなのは、お前の最大の長所のひとつだと思っている」
 悲壮になって後ろ向きになって自暴自棄になって、自覚しながら自滅に向かって突っ走るメンバーはもう十二分に間に合っている。これ以上増えられてたまるものか。
 半ば投げやりに言い放つ黒髪に、茶色はけらけらと声を上げて笑った。思い当たる節は二人ほど。双方共に、日ごろはこれでもかというほど沈着冷静なくせに、いったん暴走がはじまると止めようがないのが特徴であり手に負えない。
「それにしても、遅いな」
 話題を打ち切る意思でか、窓の外を眺めながら呟いた黒髪は、蒼天に浮かんだ小さな影に気づくと眉間にしわを刻み、大きく溜め息をついた。


***

二郎丸の処遇をどうしようか、というのが悩みどころでした。
結局、ごまかしました(苦笑)。

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