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文字通りの掃き溜め。覚書とも、下書きとも。
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パラレル予告編もどき。
頭の中をぐるぐるしているのを、だだもれにしてみました。
わくわくしながらクリックしてくださる方のみ、本文へとおすすみください。

 渦巻く光と風の向こうに、人影が浮かび上がる。
「―――!!」
 掲げた杖を握る指先は、もはや痺れて何の感触も伝えてこない。それでも、形が明確になるにつれて、震えが酷くなっていくのは感じられた。使い魔の召喚において、まず大雑把な目安となるのは呼び出した相手の大きさ。巨大であればいいというわけではないが、力の大きさと器の大きさは、多くの場合において比例している。
 そして、そのカタチ。
 竜や天馬、不死鳥など、御伽噺の中にさえ語り継がれる幻想種を召喚できれば、それは最高の栄誉となる。しかし、彼らは基本的に現界に不干渉であり無関心。彼らを呼び出すことが叶ったなら、己が才覚を誇るか、あるいは世界の崩壊を予感して嘆くか。愚者ならば前者を、賢者ならば後者を選ぶだろう。彼らは、人の身において使役するには余りに大きな対価を必要とする。
 彼らを除いて理想的であるのは、人の殻を纏った幻想種を呼び出すこと。
 あるいはかつて人だったものもあるだろう。あるいはかつて、人を愛したものもあるだろう。憎んだものもあるだろう。いずれにせよ、人の殻を纏うのは人に深く関わり、その関わりを強く遺している証。不和のない姿を保つのは、人としての、あるいは人以上の知性を身に宿している証。人の殻を纏うのを許されているのは、より強い力を誇っていることの証。


 徐々に収まる光と風の向こうに佇むのは、レツたちとそう変わらない背格好の人影だった。自分の実力を過小評価していたわけではないが、過大評価もしていなかったレツは、思いもかけない当たりに息を呑む。全力を注ぎ込んだのだから、そこそこ力の強い幻想種を召喚する自信はあった。自分の魔力の方向性から考えて、風か、炎かを纏う幻獣か幻鳥かを呼び出すだろうと思っていた。しかし、まさか人型をとる高位の幻想種を呼び出せるとは、僥倖以外のなにものでもない。
 だというのに――。
「こんなにいい加減な召喚は、初めて見る」
 光を打ち払い、風を薙ぎ払い、影は胡乱な瞳をついと持ち上げながら、溜め息に言葉を載せる。
「はじめまして。わざわざ亡霊なんかを召喚した、物好きにして不運なる術師よ」
「え……?」
 理解の及ばない名乗りを上げた亡霊の蒼い瞳をぼんやりと見やり、一気に奪われていく魔力に耐え切れずに、レツはその場でかくりと膝を折ったのだった。
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